2019年04月28日

令和元年

あと数日で新しい時代が始まる。
さて、一体どんな時代になるのだろうか―――


「令和」って響きがいいと思う。
綺麗で静謐。
涼やかなイメージ。


よそ様からの借り物ですが、出典の元は

「時、初春の令月(れいげつ)にして、
 氣淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、
 蘭は珮後の香を薫す。」
            
        ↓
      
訳)初春の良き月夜、空気は澄み風は和らぎ
  梅の花は美女が鏡の前で白粉を装うように花を開き
  蘭の花の香りは身を飾った衣に香りを移したような匂いである

季節は春、澄んだ月夜の晩、咲き誇る梅の花、むせ返るような蘭の香り…
情景が目に浮かぶよう。
そんな美しい平和な時代を築いていきたいものである。


しかし驚くなかれ。
世の中にはこれを「軍国主義」と読む人たちがいるらしい。
その理屈が凄い。

 令→命令の令。
 和→昭和の和。
 昭和を命令する。つまり太平洋戦争を命令する→軍国主義 だとか。


何で昭和を命令すると「太平洋戦争」になるのか謎展開過ぎる。
昭和は64年もあるっつーの。

令は「命令」の他にも、「令嬢」とか、「律令」とかあるんだけど。
令嬢って「お嬢様である事を命令された人々」って事なのかね?
「和」は昭和の「和」であり、平和の「和」でもあるわけだが?


あと、「和」ワと「我」ワは同じ読み方だから、
「我は戦争を命じる」という安倍首相からの隠しメッセージだというトンデモ説もあったw


突っ込み処満載である。
どんだけ吹けば桶屋が儲かるのか、というくらいのガバガバ理論である。
読み方が一緒なら意味も一緒になるとか、頭オカシイ。
漢字を知らない人なんだろうか。


「漢字」というか「にほん語」というのは視覚的な言語だと思う。
まず短い字数で情報を的確に伝えられるところ。
例えば ”はし ”という二文字だけでは、前後の文章がないとモノがわからないが、
「橋」「箸」「端」と端的にたった一文字で表す事が出来る。
「薔薇」や「憂鬱」は書けなくても、ほとんどのにほん人は読めるだろう。
そしてダイレクトにそのイメージを受け取るはずだ。


次に表意文字と表音文字を併せて使うこと。
ひらがなだけ、カタカナだけ、の文章というのはとんでもなく読み難いが、
そこに漢字、小文字を混ぜると、ひとつの文章の中に小高い山がいくつも出来る感じ。
イメージの塊、というか情報の塊がそこに現れるのである。


ひとつの単語に様々な意味を持たせて、幅広い表情を作り出せるのもにほん語の良いところ。
雪ひとつにだって、細雪、綿雪、粉雪、淡雪、風花…
にほん人らしい細やかな名前の付け方だと思う。


そういえば外国の方は「ツ」「シ」「ソ」「ン」の区別で苦しむらしい。
普段何気に使っているけれど、
考えてみたら何の為にこんなに似ている文字にしたんだろ??


posted by にょん at 22:43| Comment(0) | 日本語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする