2020年07月06日

何となくで、何とかなった国

司馬遼太郎氏とドナルド・キーン氏との対談集
「日本人と日本文化」という、面白い本があるんですよ。
その中にモラルに関するこんな文章がありまして――――

<司遼>
深刻に考える必要がない程度に日本は治まってる感じです。
つまり変な島国で人間が住んでて、なんとなく隣近所が
せせこましくて、今日のおかずまでわかっちゃうような
社会でしょう。ですから、恥ずかしいことは出来ないという
ことだけで社会の安寧秩序が保てる。
その程度のことだけで保てる社会というのは不思議な国です。


ちなみにこの対談集は2004年に出た本です。
ここしばらくのコロナ厄とか、BLM運動を見ていると、
そうだよねぇ!という感じ。
外野「何でコロナの死亡者が少ないの?」
日本「分かんないww」
何となくで、何とかなっちゃう国っていうかw
この国の「不思議さ」を言い当ててますよね。
「恥」とともに「他人に迷惑をかけない」というモラルが
国民に浸透してるということもあるでしょう。
これはBBCニュースの記事ですが↓

「日本政府は住民に対して、細心の注意を払い、混雑した
場所に近寄らないこと、マスクをすること、手を洗うこと
などを求めてきた。
そして日本ではほとんどの人がその通りに行動してきたのだ」


実は今月我が県でも、感染者が50人台に乗りまして、
早速「県を跨ぐ移動をしないように」というお達しが
職場にもきたのですよ。
その時の周囲の反応というのが、
「これは仕方ないよね、従わなくちゃ。
他県の人に迷惑かけるわけにいかないもの」だったのね。
ほーって思いましたね。
実に日本人的な反応だなぁと。

本の話に戻りますが。

<司遼>
そのくせ、秩序がうまくいっているのはなぜかというと、
「恥ずかしいことをするな」ということがある(略)
その美意識みたいなものだけで社会がずっと保っていた国と
いうのは、日本だけしかないんじゃないか。
いまでも犯罪率が比較的少なくて非常に後進国的ですよ(笑)
犯罪が少ないというのは、犯罪はカッコ悪いからです。


2000年くらい、その調子できちゃった国ですからね。
美意識というのは分かる気がする。
武士道なんて、美意識の塊じゃないですか。
「葉隠とは死ぬことと見つけたり」っていう究極の美意識。
騎士道はここまで苛烈じゃないからなぁ。
カッコ付けをここまで昇華させたのは凄いよね。
まあ、大半のお侍さんの心境は「武士は食わねど高楊枝」
ぐらいだったろうけど。

「日本人の戦争観」っていう話が面白かったです。
倭寇ってあったじゃないですか。
その倭寇が朝鮮とか中国とか行って土地を占領するんだけど、
何でだか三か月ほどで放りだして帰っちゃうw
司遼は国のご飯が恋しくなったんだろうと言ってるけど。
中国側にも文献が残っているそうです。
取り合えず統治には興味がなかったらしい。
行って、占領して、放って帰る、みたいな。

驚くのは、太平洋戦争もそんな感じだったらしくて、
当時の軍人さんの話では「真珠湾を攻撃し、それからアメリカ
沿岸を空襲して帰ってくればいい」という作戦?だったそうで、
その後どうするかは考えていなかったとか。
キーンさんによると、アメリカ軍は「この戦争は30~40年、
続くだろう」という予想をしていたそうです。
まさかアメリカ軍も、敵が倭寇だとは思ってないものねw

文化の違いという話も興味深かったですね。
例えば神殿の柱が剥げてきたとする。
 日本→趣があるとそのままにする。
 中国→原色で塗り直す。
 朝鮮→絶対に原色で塗り直す。


芸術品に対する違い。
 西洋→その時代の状態のまま、保存された品が最高品。
 日本→わざわざ茶碗を割り、それをまた金箔等で継ぐ。

うん、何か分かるねw
これが日本人のオタク気質というやつでしょう。
渋みの概念は中国から入ってきたものだと思いますが、
それをオタク心で濃くしたのが「わびさび」ではなかろうか。

posted by にょん at 10:05| Comment(0) | 日本文化 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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