2021年07月07日

紙文化を愛する日本人

マンファが日本の漫画を駆逐した!とか、
日本の書籍文化は廃れ、ウェブトーンが世界の
スタンダードのなるという記事をよく見かけます。

一時期、韓国では漫画の起源はマンファだという説で
盛り上がっていたようですが、最近はあんまり見かけ
ませんね……代わりに↑の主張が多いようです。

デジタルコミックが世界基準になる可能性は、
大いにありでしょう。
それでも日本の漫画を駆逐するのは、
日本人を根絶やしにでもしない限り絶対無理。

「マンファは漫画より優れているのに、なぜ日本人は
受け付けないのか?」「漫画はアナログ、時代遅れ」
という書き込みを見る度、
ああ、彼らはわかってないなぁ…と思うのです。

そもそも鳥獣戯画から始まって、浮世絵、漫画へと
続く画の系譜は日本の「紙文化」にあります
韓国人が後進国だと馬鹿にするファックス・判子も
その延長線上にあるといっていい。

折り紙・障子・襖などもそうですね。
1300年以上も続く倭国文化の一端です。
日本人はこの文化に、とても深い愛着を持っている。
それは世界の常識がどうだとか、
非効率的とかいう次元の話ではありません。

「雪見障子」ってご存じですか?
座ったままでも外の雪景色が見られるよう、
下半分をガラスにした障子で、日本独特の建具です。
これを風流と捉えるか、無駄な事と捉えるか―――
私は無駄と考える人には近寄りたくないですね。

人間が効率だけを追い求める生物なら、
この世界に「文化」なんて必要ないはずです。
食べて、寝て、つまり生きるだけでいい。
しかし現実社会はそうではない。
無駄で非効率なものが潤滑剤として必要なのです。

文化というものは「無駄の集大成」です。
デジタルとアナログ、利点と欠点。
どちらも楽しむという選択肢があっていい。
歴史的に培かってきた文化を壊してまで、
どちらか一方に執着するのはおかしいでしょう。

漫画の単行本というのは、内容・その表紙・裏表紙・
背表紙から後書きに至るまで、全てひっくるめて
一つの作品だと思っています。
好きな作家の画集を手に取り、目から直接楽しむ。
これはアナログにしか出来ないことです。

個人的にはデジタル化が進めば進むだけ、
懐古趣味的な欲求が増えるのではないかと予想します。
日本の漫画文化が廃れないと考える理由です。
posted by にょん at 00:00| Comment(0) | わたしはこう考える | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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