子供の頃、食卓にあがっていた薩摩の食を三品、
ご紹介します(^-^)
まずはミナ貝。
浅瀬にいる小さな巻貝です。
昔は岩場や海岸で死ぬほどドッサリ採れました。
地元では採りに行くことを「ミナとい」といい、。
どこかの家族が潮干狩りに行ったりすると、
おすそ分けで大きなザルいっぱい貰ってました。
これをでっかい鍋で塩茹でするわけですが……
食べ方にコツがあります。
まずは裁縫用の縫い針を用意しましょう。
針を落とした時の為に、糸をつけておくと安心です。
針先でミナの蓋を取り、中身を引き出します。
一緒にくるんと出てくるウンコを指で千切り、
身だけを甘口醤油につけて頂きます。
ひとつひとつの身は小さいので、
量がまとまってから食べるのがお勧めです。
残ったら甘辛く炒めてご飯のお供へ。
次は塩茹で落花生です。
これは今でも大好き!
これもよく蔓ごと頂いたものでした。
実だけむしって殻ごと塩茹でします。
冷凍食品にもありますけどね。
茹でたてアツアツの味を知っていたら、
あんなの絶対食べられませんよ。
爪で裂け目を入れると出てくる煮汁の美味しさよ!
殻までちゅうちゅうしてから捨てましょう。
最後はキビナゴの刺身です。
これも昔はいっぱい獲れましたね。
私は嫌いでしたが父の好物で。
母が良く夕食にあげていました。
我が家では子供がキビナゴ刺身の担当だったのです。
キビナゴは包丁を使わず調理出来るので。
まずは指で頭を千切り落とし、
親指で腹を割っていきます。
内臓と背骨を取り除き、裏の背びれも取り除きます。
尻尾は見目よくするため残します。
ひらいたキビナゴをふぐ刺しのように円状に盛り、
中央に酢味噌を盛りつけます。
キビナゴは醤油ではなく、酢味噌で頂くのが薩摩流。
新鮮なキビナゴは縞がキラキラしてて、とても綺麗。
今では天ぷらくらいにしか使わない小魚ですが、
夕刻、ちゃぶ台でせっせと刺身にしてた頃のことを、
なぜか最近とても懐かしく思い出します。
年をとったせいでしょうかね……
母が作る味噌汁の匂いとか。
漫画本を買って廊下に正座させられた思い出とか。
無口な父が焼酎を飲んだ時だけは明るかったとか、
なぜか飼い犬と酒盛りをする変な人だったとか。
口喧嘩の最中に発作で死んだ祖母のこととか。
私立じゃなきゃ嫌だと駄々をこねたら、
何も言わずに行かせてくれた両親のこととか……
思い出はまるで、中身の消えた空き瓶のよう。
振ってもカラカラと遠い音が聞こえるだけ。
夏、夕暮れ、蚊取り線香、テレビの人形劇。
ちゃぶ台の上の、山盛りの貝と落花生。
もう二度と目にすることは無いかもしれません。
2021年07月20日
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